海の近くの実家から、古いラジオと道具箱を掘り出して。
15 August 2021

中高時代、CUTiEやFRUITSに夢中だった女の子は、10数年後、ジャンルにとらわれないハイセンスなキャンプスタイルを発信するようになった。
CONCEPT
『小さな旅の記録~your solo trip~』<インタビュー連載>
"旅"をコンセプトに開発された「solo trip collection秋冬」のアイテム達を
記念して、新たなプロジェクトが始動。
otii®︎の理念に共感してくれた沢山のゲストに、
"旅"をテーマにお話を伺いました。
馴れ親しんだ日常から、ほんの少しだけ離れてみる。
たったそれだけで、そこには「小さな冒険」が溢れていました。
|
トムボーイさん |
海の近くの実家から、古いラジオと道具箱を掘り出して。
ーーーーファッションセンス際立つキャンプスタイルを発信し、多くのフォロワーを集めるトムボーイさん。まず、ファッションの原点を教えてください。
年の離れた姉の影響で、中高生の頃から興味を持ち始めました。一緒に買い物に行ったり、おさがりをもらったり。母親のタンスを漁って昔着ていた服をもらったりもしていました。いま使っているアクセサリーやバッグのなかにも、母親のものはたくさんあるんです。物持ちが良いんですよね。
ーーーー当時、おしゃれのマイ・ルールはありましたか?
自分が「いい!」と思ったものを着る、でしょうか。でも、いざ昔のプリクラを見返すと、とんでもない格好をしていますけどね、あるあるだと思いますが(笑)。
ちなみに、前髪ぱっつんにして、CUTiEやZipper、FRUITS、STREETを読んでいました。
ーーーーそういったおしゃれに興味が湧くと、比例して東京への憧れは募りませんか?
それが、東京に住みたいと思ったことはいままで一度もないんです。都会すぎますし、地元・香川に魅力がありすぎるので。地元、めちゃくちゃ大好きなんです。家族がいるし、仲の良い友達もいる、すてきな喫茶店に美味しいごはん屋さん、そしてアートが溢れています。
ーーーー香川といえば、県庁は建築家の丹下健三が手掛け、瀬戸内海の島々を舞台にした現代アートの祭典「瀬戸内国際芸術祭」が開催されるなど、アートに力を入れていますね。
特に、草間彌生の「黄かぼちゃ」がアイコンになっている直島が有名ですよね。私が通っていた小学校は高学年で直島の宿泊合宿があり、昔からアートを身近に感じることができるんです。
ほかにも、豊島もおすすめです。「豊島美術館」に、ぜひ行ってみてください。
そういったアート以外では、自然をダイレクトに感じられるのも好きなところです。実家が海の近くだったので、その影響はあると思います。
ーーーーキャンプにハマっていくキッカケはありましたか?
あるとき彼に「とりあえず神戸で待ち合わせね」と言われて、どこに行くのか知らされず車が走り出し、気づいたらキャンプ場着いていたことがあったんです(笑)。驚かせたかったんでしょうね。
わたしが一番驚いたのは、ずらりと揃ったギアの数々。キャンプにハマってギアを集めていたなんて聞いていなかったのでびっくりしましたね。彼は密かに、会社の同僚たちと何度も行っていて慣れていました。
ーーーーその時はどちらに行かれたんですか?
淡路島のFBIキャンプ場です。目の前が海で、砂浜にテントを立てて、ごはんを食べた後、海を眺めながらゆっくりして、楽しかったですね。好奇心旺盛なタイプなので、とことん楽しみました。
ーーーー当時から、現在のようなオリジナリティに富んだギアだったのでしょうか。
いえ、当時は、前のめりになっているというか、背伸びして頑張っている感があるチョイスでしたね(笑)。
それに、当時はまだアウトドアブームでもなければSNSにアップする流れもなく、「キャンプ=個性を出すもの」という概念もなかったんです。
ーーーーギアにこだわりはじめたきっかけはありますか?
行くうちに、「どうせやるなら、かっこよくしたい」と思い始めました。いちばん刺激を受けたのが、GO OUTのイベントに行くようになり、ほかのキャンパーのかっこよさを目の当たりにするようになってからです。「ああ、好きなようにやっていいんだ」と。
ずっと遠距離で、基本的には彼が一式を持っていて、そこにわたしが合流する流れでしたが、キャンプの日に向けてお互いにギアを揃えて持ち寄っていました。
でも、彼はわたしの稟議なく(笑)いつの間にか買っているので、「いらんもん買うたな!」と怒ったこともあります(笑)。なんだかんだすべて使えるのでいいんですが、値段やデザインは相談してほしいなあと。
そんなこともありつつ、いまは自分の趣味が反映されたキャンプスタイルに、たどり着きました。
ーーーー現在のスタイルに、ルールはありますか?
お互い黒が好きなので自然と黒が集まるのと、コンパクトで持ち運びに長けた椅子や机がある、ヘリノックスのタクティカルラインで統一しています。
一番意識しているのは、“生活感をなくす”ことかも。これがけっこう重要かもしれません。
ハーフトラックプロダクツのアイテムを必ず持っていくんですが、生活感を消すことにめちゃくちゃ使えるんですよ。たとえば、LEDライト専用のシェードとか、ウエットティッシュ専用カバーとか。いわゆるウェットティッシュって、色使いがチカチカしてるところを、カバーひとつで景観がよくなる。
キッチンペーパーもそうですね。最近は、ヘリノックスの机にちょうどハマる大きさのケースがついているので、そこにキッチンペーパーを入れています。あ、ゴミ袋もそうだ。冬場はストーブケースの中にゴミ箱を入れて簡易的なゴミ箱代わりとして使っています。
ーーーーおしゃれの大敵=生活感、を消すのですね。
実家から持ってきた赤いツールボックスや、お気に入りのラジオをいつも持っていくのですが、そういった古い一点物も生活感をなくす役目を担っているかもしれません。
自分でカスタムすることもあります。シルバーのメスティンに味気なさを感じて、好きに塗装したり、コールマンのランタンも塗装したことがあります。彼がYouTubeを参考にして作った鹿の角のハンガーは重宝していますね。
ーーーー登山もされていますが、いつから始めたのでしょう。
昨年秋からで、いまはどっぷりハマっています。特にごはんの時間が好きで、春なら桜のそばで、夏なら川沿いで、それぞれに合わせたごはんを作ることを意識しています。夏ならそうめん、冬なら鍋、とか。インスタント麺でも、ほんのひと手間で増し増しでおいしくなります!
ーーーートムボーイさんが日常から離れて旅をする理由は何ですか?
実家が海の近くにあり、釣り好きの父に連れられ、姉と双子の片割れと一緒に、よく釣りに行っていました。早朝5時に起きて、父の操縦で船に乗り沖に出て、料理好きの父が作ったサンドイッチを朝ごはんにしながら、鯛を釣ったり。お昼ごはんは、瀬戸内海の島・男木島にある父の知り合いのごはん屋さんに行き、釣った鯛を捌いて食べて、帰る、という感じでした。そこでみた景色や体験は今でも忘れないです。だから今でも変わらず新しい景色や体験に出会いたいと思って旅に出かけてしまうんですよね。それが理由かもしれません。
[ GUEST ]
NAME : トムボーイ
INSTAGRAM :@tomboy375
[ INTERVIEWER / WRITER ]
NAME:有山千春
AREA : TOKYO
JOB : FREELANCE WRITER
PROFILE:制作会社、出版社を経て2011年よりフリー。主に週刊誌、月刊誌、書籍構成。行くなら最果てと、猥雑な小路。