道具に導かれた「デザイナーの本気キャンプ」
13 August 2021

グッドデザイン賞を何度も受賞しているインテリアデザイナーのbeckさん。キャンプにハマった理由は、「そこで使う道具」と関係があります。
CONCEPT
『小さな旅の記録~your solo trip~』<インタビュー連載>
"旅"をコンセプトに開発された「solo trip collection秋冬」のアイテム達を
記念して、新たなプロジェクトが始動。
otii®︎の理念に共感してくれた沢山のゲストに、
"旅"をテーマにお話を伺いました。
馴れ親しんだ日常から、ほんの少しだけ離れてみる。
たったそれだけで、そこには「小さな冒険」が溢れていました。
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beckさん |
道具に導かれた「デザイナーの本気キャンプ」
ーーーー現在「デザイナーの本気キャンプ」というインスタを運営していますが、キャンプを始めるきっかけみたいなものはありますか?
1年半くらい前かな。たまたまキャンプ道具を見に行ったことがきっかけですね。
職業がデザイナーなので、キャンプギアのデザインが気になったのですが、スノーピークやモンベルの製品を見て、「これはすごい」と思ったんです。
インテリアのデザイン、つまり店舗だったり家具だったり、そういうものを今までデザインしてきたのですが、「コンパクトにする」という方向で設計はしていなかったんです。
けど、キャンプ道具にはまず「コンパクトにするためには?」という発想があります。
ーーーー特に気になったものはありますか?
スノーピークのシェルフコンテナですね。一見すると頑丈な箱なのですが、それを開くとそのまま棚になるんです。この発想を見たときには感動しました。
それ以降、まずキャンプギアを買うことにハマりましたね。
半年くらいはいろんなお店や道具をチェックして、「面白いデザインあるかな」とか「これは使ってみたいな」とか、ずっと考えていました。
ーーーーそれで道具がそろった半年後、キャンプに出発されるわけですね。インスタを拝見したところ、ギアの設置も大変そうです。
気持ちのいい空間にするため、キャンプ地にはソファーやテーブルも持っていきますし、テントにもこだわっているので、設営には2時間かかりますね。当然撤収にもそれくらいはかかりますが、その設置自体が楽しい面があります。
子どものころからプラモデルや工作が好きでしたし、「組み立てる」という過程こそが面白いんです。
しかも海や山、好きな星空を選んで食事ができるなんて、どのレストランでもできません。「レストラン以上の環境を自分で用意できる」というのが、キャンプ旅の魅力です。
ーーーーbeckさんのキャンプ環境を見ると、新しいアイデアを実現している道具だけではなく、古いものもありますよね。
新しい発想のあるデザインも当然好きですが、「100年変わっていないデザイン」にも魅力を感じます。ヘリテージデザインですね。
ペトロマックスのランタンHK500なんかは、まさにそうです。
100年以上前のデザインですが今見ても古びていない。材質の関係もあり、ほかのランタンよりも重いですが、必ず持っていきますね。
キャンプギアには素晴らしいデザインのものが多いので、普段から使いたくなります。
ーーーーたとえばどういうものがありますか?
キャンプ用品を見始めたころに買った「モンベルのフォールディングテーブル」はキャンプを始める前から使っていましたね。コンパクトに折りたためるだけではなくて、使用シーンに合わせて高さを変えられるんです。
リモートワークが主流になってきたので、仕事でも活躍しています。
家で使っている道具をその持っていけるのも、キャンプ旅の良さですね。
ーーーーやはり道具というか、ギアというか、そういうものがお好きなんですね。
キャンプをする前はツーリングにも行っていたのですが、それも「どこかに行きたい」よりも「バイクを操縦したい」という理由が大きかったんです。道具が使いたくて旅に出ているんですね。
キャンプは道具を使う要素がいっぱいあるので、それに没頭してます。
ーーーー最近は、キャンプギアの自作や改造もされていますよね。
「キャンプギアを使ってみたいな」から「作ってみたいな」て変わってきましたね。
インスタにもアップした自作の「工具収納ボックス」は、とても気に入っています。
工具箱の中身は散らばっていることが多いのですが、これは収納場所が決まっていて、一目でどこに何があるのかが分かる。工具をなくすこともありません。またこれも大事なのですが、「片手で持てる」ようにしています。撤収や設営をしていて思うのですが、「両手で持つ場合」と「片手で持つ場合」を比較すると、時間が倍違います。ここはデザインしていて、結構見落としがちなのではないかと思っています。
ちなみにこの収納ボックスは、「自分で使いたいから真似していいか」と許可を取ってくる律儀な方がいらっしゃいました。中には勝手に真似して、メルカリで売っていた人もいたようですが、それはちょっと嫌ですね(笑)。
ーーーー今後、キャンプギアを製品化したいなとか、お考えですか?
いつかキャンプ用品をデザインしたいですね。小さくしようとすると、どうしても材質が変わるし、強度も上げる必要がある。2段階、3段階上の設計を考える必要があるんです。
ただ、それを考えるのは楽しいですね。
キャンプ中も、「効率的な設営」や「道具を使ったおいしい料理」など、いろいろと考えちゃいますが、「考える旅」というのが、たまらなく好きなんです。
[ GUEST ]
NAME : beck
INSTAGRAM :@_____beck_____
[ INTERVIEWER / WRITER ]
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TWITTER: @juan1979
AGE : 42
AREA : CHIBA
JOB : FREELANCE WRITER
PROFILE:
大学卒業後、広告代理店、通訳等を経てフリーライターに。著「【内田篤人】夢をかなえる能力」(ぱる出版)