異世界へのキャンプ道
08 August 2021

独特なキャンプ写真で、唯一無二の空気感を生んでいるインスタグラマーのfaloさん。その雰囲気を出すためには、DIYしたキャンプ道具がどうしても必要だったようです。
CONCEPT
『小さな旅の記録~your solo trip~』<インタビュー連載>
"旅"をコンセプトに開発された「solo trip collection秋冬」のアイテム達を
記念して、新たなプロジェクトが始動。
otii®︎の理念に共感してくれた沢山のゲストに、
"旅"をテーマにお話を伺いました。
馴れ親しんだ日常から、ほんの少しだけ離れてみる。
たったそれだけで、そこには「小さな冒険」が溢れていました。
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faloさん |
異世界へのキャンプ道
ーーーーインスタのお写真を見ると、ちょっと独特な雰囲気のものが多いですよね。faloさんの中で何かこだわっていることはあるんでしょうか?
インスタのキャンプ写真は、色味を「自然の色」にしたいなと思っていますね。私の好みの色というんでしょうか。
「インスタ映え」と言われますが、「映える」というのは一般的にはキラキラしています。
自分の中ではそういうものよりも、「普通は汚いと思われるもの」の方が美しく見えたりしますね。橋の汚れた感じとか、きれいですよね。
キャンプの中でも、自然の中にある「キラキラしてない美しさ」を表現したいです。
ーーーー昔からキャンプには頻繁に行かれていたんでしょうか?
キャンプは小さいころから憧れていました。母があまり出かけるのが好きではなかったので、旅番組とか、秘湯番組を見て「大人になったらキャンプしたいな」と思っていましたね。
けど、社会人になってみると、本当に忙しかった。
熱帯魚屋やビルの清掃、アパレル販売、内装工事の職人など、掛け持ちもしながらいろいろとやっていました。お金はもらえるけど、使える時間がない。
最初は休みの日に、車中泊をしながら温泉などに行っていましたね。そのうち、テント泊をするようになって、キャンプに行くようになりました。
ただ、休み自体が少なかったですね。
ーーーーそこで東京から群馬への移住を決意するんですか?
東京で暮らしていたときは、人混みも嫌いでしたからね。今は群馬に住み、働く時間を減らして、無料キャンプ場などでキャンプを満喫しています。
キャンプにはいろんな要素がありますが、私にとってキャンプはインテリアの延長線上にあります。景色を作りに行く感じですね。
インテリアは昔から好きだったし、内装工事の職人もしていたので、家をカフェみたいにすることから始めました。オープンテラスを作ったりして…。
オープンテラスでコーヒーを飲んでいる時間が長くなると、キャンプでも同じ体験をしたくなったんです。
いい風景の前で自分のイメージするインテリアを揃えたくなりました。
ーーーー「景色を作る」ですか。具体的にどんな景色を作りたいんですか?
目的地によって、いろんな作りたい景色があります。たとえば「山」という景色だったら当然、山岳テントが似合います。雪が積もっていたらなおいいですよね。
ただ、基本的には森の景色が好きです。特に映画の中のワンシーンになれるような景色ですね。ハリーポッターの世界とか、スターウォーズだったらヨーダが住んでいる森みたいなイメージです。山の奥には小屋とかがあって、そこには魔法が使えそうな人が住んでいる。その世界に近づけたいです。そうなるとヨーロッパの古いものを集めたくなりますよね。
だから、新しいキャンプ道具とかは、あまり響きません。最新のものよりも、どこか懐かしかったり、使い古した感じがあったり…。そういうものが欲しくなります。
ーーーーなるほど。テントなどは、それに合わせて自作されたようですね。
不思議な幻想的なものをイメージしたら、そんなテントは、売ってないんですよね。結局こんなテントがいいなと思ったら作るしかない。ここでも職人で働いていたことが活きました。
ーーーー具体的にイメージに近いキャンプ場などはありますか?
群馬県には無料のキャンプ場もいい森もいくつかあります。中でもお気に入りなのが、「不思議な森」と呼んでいるキャンプ場です。
森に入るまでは普通の世界なのですが、中に入ったとたん人工物が一気に減るんです。不思議な感覚になりますね。
ーーーー季節によっても森の感じ方は変わりますよね?
6月の早朝だと、霧がかかっていて、しっかり前が見えない日もありますよね。そういう日は幻想的な映画の中にいるみたいな感じがします。
秋になり、森全体が茶色っぽくなるとそれも楽しいです。落ち葉が絨毯のようになるとワクワクしますね。
基本的には「映画のような別世界」に入りたいので、時間とかも気にしたくないんです。チェックアウト、チェックインの時間が決められていると、それだけで嫌になります。
時間が決められているだけで、人間社会と変わらない環境になっちゃいますからね。非日常を味わうためには、時間を切り離す必要があります。
ーーーー本当に別の世界に行ったら、それこそ時間が決められているのもおかしいですしね。
時間もない、そういう世界だからこそ、単純なものを感じられてうれしいんです。
夜が暗いのは当たり前ですが、それを本当に感じられる。寒かったりするだけでも、生きていることを実感できます。
言い方が難しいですが、現実逃避をすることで、生きている実感を持てる気がします。
ーーーーそこまでこだわると、ソロキャンプが多くなりますよね?
仲間と行っちゃうと、打ち合わせも必要になりますからね。人間社会があまり好きではなくて東京から逃げ出したし、だからこそ、ソロキャンプにのめり込んで、別世界にひたっています。
ーーーーそういう「異世界」というか、「faloさんが作った景色」がインスタにアップされているんですね。
僕の好きな「世界」だから、あんまりキラキラしたものにはならないですね。どこか懐かしかったり、古かったり、汚れていたりする。
けど、本当の自然を感じるためには、そういう世界に入る必要があります。
実は最初はホームセンターで売っていたキャンプグッズを使っていました。それはそれで楽しかったんですが、自然に入り込んだ今のキャンプとは違います。
自然はよく分からないものだし、人間の想像以上のものがある。少し「別世界に入る」くらいじゃないと、実感が得られないですよね。