松ぼっくり、おばあちゃんが編んだ靴下。旅のかけらを集めて。

18 August 2021

その山あいの団地の一室には、旅の道中に集めた自然物や民芸品で溢れていた。インテリアコーディネーターのNaoさんが話す、ていねいな旅の記憶。

CONCEPT

『小さな旅の記録~your solo trip~』<インタビュー連載>

 

"旅"をコンセプトに開発された「solo trip collection秋冬」のアイテム達を

記念して、新たなプロジェクトが始動。

otii®︎の理念に共感してくれた沢山のゲストに、
”旅”をテーマにお話を伺いました。

馴れ親しんだ日常から、ほんの少しだけ離れてみる。
たったそれだけで、そこには「小さな冒険」が溢れていました。

Naoさん
香川県在住。インテリアコーディネーターとして建築関係の仕事を請け負う。「帰りたくなる家」づくりを意識し、魅力的な山暮らしを発信中。

松ぼっくり、おばあちゃんが編んだ靴下。旅のかけらを集めて。

ーーーセンス溢れる居心地の良さそうな家での暮らしを発信するNaoさん、いまのライフスタイルを確立したきっかけを教えてください。

香川県のなかでも大きめの街で生まれ育ちましたが、約1年前、引っ越しを考えたときに、「今度は憧れを叶えよう」と決めていたんです。昔からずっと、スタジオジブリの『耳をすませば』や『平成狸合戦ぽんぽこ』のような団地が出てくる世界観が好きで、「いつか、自然に囲まれた団地に住みたい」と思っていたんですよね。
「団地」を条件に引越し先を探し、いまの家を探し当てましたが、内見のために山道の坂を登っている段階で、「あ、ここがいい。ここに住もう」と確信しました。
実際に室内を確認すると、リノベーションされていて水回りはきれいな一方で、ドアなどは以前のままの“古き良き”が残っていて、大きな窓を開けると目の前に山があって、ふわっと冷たい風が通り抜けて。憧れのまんまでした。もうその場で管理人さんに、「ここに住みます」と伝えました。
実際、ここに決めて大正解でしたね。街外れなので、鳥の声がいつも聞けるし、星がきれいに見えるし、夏でも山からの冷風が入ってくるので、昨年エアコンをつけた日はほんの数日だけだったほどです。

 

ーーーー学生の頃から、そうした“好き”は変わっていないのでしょうか。

高校時代はブレブレで、流行や周りの友達に左右されていました。高校卒業後、19歳からアパレルやインテリア雑貨を扱うライフスタイルショップで働くようになってから、自分の好きなものが明確になっていきました。
一方で、働くにつれて“好き”が明確になると、徐々に「このまま淡々と働くだけでいいのかな」という思いが、芽生え始めました。わたしは元々、自分に自信がなかったんです。「わたしにはこれがある!」と自信を持って言えるものがなく、周りの友達は大学で勉強して資格を取って就職に活かしたりしているなか、わたしはそうした勉強の機会をすっ飛ばしているわけだし、と。勉強して資格を取って「強みです」と言えるものが欲しかったんだと思います。
それで26歳のとき、インテリアコーディネーターの資格を取るために、建築全般が学べる学校に通うことにしたんです。

 

ーーー学生と社会人を両立したのですね。

最初は両立しようと思いましたが、仕事量は多いし勉強が追いつかないしで、「このままでは資格を取るどころではなくなる」と焦り、退職を決意しました。
社会人から突然、無職の学生に戻ることは、とても勇気が入りました。でも、「自分のやりたいことが見つかったタイミング」を逃したくなくて、迷いなく辞めることができましたね。

 

ーーーーそれからの生活は?

普通の学生の生活、朝8時半から夕方4,5時まで学校です。バイトもせず、完全に無職で。そうして1年後、無事に資格を取り、建築関係の仕事に転職しました。
実は、初めて長旅をしたのもこの時期でした。
退職する前に1ヶ月間有給を取り、「今まで、まとまった休みが取れなくてできなかったことを、全部やろう」と思い立ち、3週間ほど旅に出ることにしたんです。
まずは行きたい場所をピックアップして、荷物はキャリーバッグとザックひとつに詰め込んで。

 

ーーーーどちらへ行かれましたか?

すべて電車移動で、香川から金沢にゆき、そこから名古屋、静岡、そしてずっと行きたいと思っていた富士山に登頂し、降りたら山梨へ、最後に熱海に行き、帰ってきました。
このときの富士山体験がきっかけで、登山に行くようになりました。
この旅では、ひたすらその土地のおいしいものを食べてました。山小屋のカレーライスと、朝持たせてくれた稲荷寿司弁当。石川ではおでん。名古屋では鳥の手羽先。浜松餃子に、海鮮茶漬け。熱海の干物を焼いた朝ごはん。どれも鮮明に思い出されます。食いしん坊なので。笑

 

ーーーー1ヶ月の休み、海外ではなく日本の旅を選んだのですね。

やっぱり、日本がすっごく好きなんです! 風景はもちろん、その土地のものや、土地の風合いが反映された民芸品が大好きなんですよね。“唯一無二感”に、心が惹かれちゃうんです。
わたしの家には、山で拾ってきた大きなまつぼっくりや川で拾ったいい石がいくつもあって、部屋の一角に飾っていまして(笑)。これは、木の実を拾って持ち帰っていた子ども時代から変わらないことなんですが(笑)、ほかにも部屋には旅先で見かけたものが溢れています。ものにふと目をやったとき、そのときの情景や思い出が浮かび上がる瞬間が、好きなんです。
旅先で必ず立ち寄るのは道の駅で、地元のおばあちゃんが作ったかごバックや、おばあちゃんが編んだ靴下は、見かけたらつい買ってしまいます。家でふと目に入ったとき、「おばあちゃんはどんな思いでこの靴下を編んだんだろう」と造り手に思いを馳せると、ジーンとしてきちゃって。手に取ることで、思いを受け取れるというか。直接会えなくても、造り手がどんな生き方をしてどんな想いで作っているのかを思うと、愛着が湧き、大事に、丁寧に使いたくなるんですよね。

 

ーーーーインスタを拝見すると、ご自宅には様々な器やカゴなどがありますが、どれも旅先で出会ったのでしょうか。

だいたいそうですね。あと、古道具も好きです。誰かが脈々と使っていたものなんだなあと思うと、「次はうちにおいでよ」と言いたくなっちゃうんです。
リビングに置いてある古いテーブルも、最近うちに来たものです。友達が空き家を手に入れまして、昔はおじいさんとおばあさんが床屋をしていた家だそうで、お2人が亡くなられてから何十年もずっと空き家で、中はボロボロで。それを友達が譲り受けて内装をきれいにしていたとき、「家財が残っているから、古道具が好きなら持っていく?」と連絡をくれたんです。
ありがたくうかがうと、ホコリをかぶっているものの、とてもかわいい机があったんです。それをいただき、まずはすべて水洗いし、ボロボロの天板をやすりにかけてオイルを塗り、今ではダイニングテーブルとして重宝しています。

 

ーーーー想いのかけらが集まる魅力的な旅のほか、山登りもされるんですね?

富士登山以降、ひとりでも友達とも登るようになりました。
5月には、ひとりで歩きたいなあと思い、徳島の山に行きました。三嶺から天狗塚というところまで、朝4時半、薄暗いうちに出発して、4つほど山を縦走して、しんどい一方で達成感もあり、風がとにかく気持ちの良い日だったことが印象的でした。
しかも、朝4時半から最後の最後に1人に会うまで、誰にも会わなかったんです。文字通り、誰もいない山の中を歩いていたんですよ。いや、鹿とたぬきにはあいましたね。動物にしかいない世界を、人間一人で歩くのはたしかに怖さもあります。でも、気持ちよくて楽しかったなあ……という記憶しかありません。

 

ーーーー必ず持っていくお気にいりの登山グッズはありますか?

山と道U.L.のザックです。「ハイキングを通じて本当に必要な道具を形にしていく。」をコンセプトにしたブランドで、軽量で背負いやすく、長い距離を歩くのに向いているので愛用しています

 

ーーーー登山は、日常にどんな影響を及ぼしますか?

登山をして山頂で眼前に広がる広い世界を見ると、いつも同じことを思うんです、「日本の一番ちいさな香川県の中の、小さな町、ちいさなちいさな場所で、悩んでるわたしって本当にちっぽけだなあ」と。悩みがリセットされるような感覚です。だから、度々山に行きいなあと思う瞬間は、気持ちをすっきりさせにいきたい証拠だと思っています。
それって、わたしが一生懸命生きてるんだと感じられる瞬間でもあります。

 

ーーーー最後にうかがいます。Naoさんにとって、旅とは?

「リセットする時間」でしょうか。“日常”で誰かと一緒だったり、ひとりだったり、笑う日もあれば、泣いてばかりの日も。空模様も、晴れだったり、雨だったり、なおさら気まま。
「楽しい」のあとは「さみしい」し、「さみしい」のあとは、また「楽しい」を作っていきますよね。
こんな環境のなかで、わたしはリセットをしながら、また次の旅に出ているように思います。
自分の気持ちを落ち着かせたり、その場所での空気を吸ったり、耳を澄ませたり、感じたり、見たり、触れたりして……旅は、新しい自分を発見できるツールなのかもしれませんね。

 




[ GUEST ]
NAME : Nao
INSTAGRAM :@419tad

[ INTERVIEWER / WRITER ]
NAME:有山千春
AREA : TOKYO
JOB : FREELANCE WRITER
PROFILE:制作会社、出版社を経て2011年よりフリー。主に週刊誌、月刊誌、書籍構成。行くなら最果てと、猥雑な小路。

小さなひとり旅にでよう。

馴れ親しんだ日々の暮らし、
慌しい日常から離れ、
少しだけ自分の時間を。

通勤の車窓から見えていた海岸線
いつか読もうと埃をかぶった小説たち
もう何年も行かなくなった映画館

いつもより少しだけ遠くへ。

日常から旅先でも。
軽量な一重仕立ての
フリース。

一重仕立てのフリース生地は、非常に軽量で手入れもしやすい為、日常的にご着用いただけます。
襟はハイネックに。襟は折り曲げたり、そのまま立てたり、クシャッと倒してみたりとお好みの雰囲気で合わせてみてください。襟を立てたままジャケットと合わせれば、マフラー要らずで暖かくお過ごしいただけます。

lineup
  • ¥13,200- (tax included)

  • ¥13,200- (tax included)

  • ¥13,200- (tax included)

動きやすさと
シルエットの美しさ。

裾にかけてテーパードするシルエットで、膨らみのある生地を使用しながらもすっきりとした雰囲気に仕上げました。
膝にはダーツを施す事で立ち座りの動作での生地の突っ張りや伸びを少なくし、生地が長持ちする仕様になっています。裾にはスリットを施し、重たい印象を取り除きました。
股下の部分は、ガゼットクロッチを施し、トップスと同様に嵩張りを防ぐために別布に。艶のあるナイロン生地の異素材合わせを、アクセントとしてもお楽しみください。

lineup
  • ¥14,300- (tax included)

  • ¥14,300- (tax included)

  • ¥14,300- (tax included)

秋冬や、湿気の多い
梅雨時期など、
幅広いシーズンで。

合繊ながら、コットンのようなソフトな風合いとすぐれた速乾性が特徴の生地、『トルードライ®』を使用して作られたカットソーは、吸水速乾性・UVカット性・耐久性を備えており、日常着として快適に着用できます。
やや薄手でさらっとしたドライタッチな風合いを持つニット素材は、これからの秋冬の季節や、春先、湿気の多い梅雨時期など、幅広いシーズンでご着用いただけます。

lineup
  • ¥11,550- (tax included)

  • ¥11,550- (tax included)

  • ¥11,550- (tax included)

防寒性とデザインの
バランスを意識。

両サイドにジップを配し、スリット仕様に。ジップの開閉で、レイヤードなどさまざまな着方をお楽しみいただけます。
長めのリブにはサムホールを取り付け、防寒にも配慮したデザインに。メンズでも十分に着用できるサイズ感に仕上げています。

lineup
  • ¥13,200- (tax included)

  • ¥13,200- (tax included)

細部のシルエット
に拘った一枚。

otiiのオリジナルスウェットをアレンジした21AWの新作アイテムです。
襟のリブ部分をモックネック仕様に。長めの袖リブはスリットを入れて袖を折ったり捲ったりしやすく改良しました。モックネック 、裾リブ共に角度や配置位置に拘った一枚です。

lineup
  • ¥13,200- (tax included)