時空を超えた写真の旅
17 August 2021

なにげない日々をフィルムカメラで切り取っているフォトグラファーのkamoさん。写真は時間を旅行する魔法だと話します。
CONCEPT
『小さな旅の記録~your solo trip~』<インタビュー連載>
"旅"をコンセプトに開発された「solo trip collection秋冬」のアイテム達を
記念して、新たなプロジェクトが始動。
otii®︎の理念に共感してくれた沢山のゲストに、
"旅"をテーマにお話を伺いました。
馴れ親しんだ日常から、ほんの少しだけ離れてみる。
たったそれだけで、そこには「小さな冒険」が溢れていました。
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kamoさん |
時空を超えた写真の旅
ーーーーフォトグラファーになられたのは、最近とお伺いしました。
昔から写真はやたら撮っていた記憶がありますが、職業にしたのは3年くらい前ですね。
もともと医療関係の会社でサラリーマンをしていたんですが、仕事をしているとどうしても苦しいことや嫌なことがあります。そのときに「本当に好きなことなら、苦しいことがあったって、何があったって最後まで頑張れる」と思ったんです。それが自分にとっては写真でした。
ーーーーフリーでカメラマンになってからはどういった写真を撮られていますか?
多いのは家族写真、特にお宮参り等の写真を依頼されることがあります。
神社で写真を撮ると、ちょっと背筋が伸びますね。大阪、大東市の菅原神社で撮影したときは雨も降っていたし、神社の雰囲気も良かった。古いのにしっかりと管理されていて歴史がある。小さい祠とお狐さんもいて、なんとなく「ここに神様って本当にいるんやな」って感じました。
いつも以上に丁寧に、撮った感じがします。
ーーーー写真を撮るときに心がけていることはありますか?
たとえば家族写真だったら、その写真を何年後かに見返すときのことを考えますね。
小さい時にお宮参りをした写真は、5年後とか10年後とか、ある程度子どもが大きくなったときに、一緒に見ると思うんです。
そのときに、10年前に連れていけるような写真にしたいですね。
もちろん、「写真」っていうもの自体に、そういうタイムスリップの要素があると思います。
昔ガラケーで撮りまくっていた写真を見ると、楽しいんですよ。
「給食の時間に友達と騒いでいた写真」とか、たわいもないものばかりなのですが、それを見ている時間は、昔に戻った感覚になります。
ーーーーご自身の家族写真も撮られたりするんですか?
毎週撮っているんですが、実はこれ、SNSにはアップしていないんです。
祖父母がかなりの歳になり介護を必要としているので、僕も介護のために3日に1日とか、最低でも週に1日は祖父母の家に行くのですが、その際にフィルムで家族写真を撮るようにしています。
親戚が集まったりもするので、そのときは集合写真にしたり…。
ーーーーそれは素晴らしいですね。
この集合写真もずっと撮っているので、見返すと面白いんです。いとこが結婚したのでお嫁さんが増えていたり、子どもが生まれていたり…。祖父母からするとひ孫です。
フィルムで撮るので、思いの密度も濃い気がします。そのときに集まって話した内容とかも、写真を見ると思い出せますしね。
記憶の外付けハードディスクみたいなものです。
SNSにアップしている写真が、日々の日常を切り取っているのも、「そういう日常」を見たときに、昔の記憶って蘇る感じがするんです。
ーーーーたしかに、旅行に出られたときの写真も「日常っぽさ」とか「記憶に残る」感じが出ているような気がします。
市橋織江さんというカメラマンのお写真が大好きなのですが、その方の写真もなんというか「記憶に訴える」というか、うまく言葉にできない魅力があるんです。
去年の年末あたりに熊本旅行をしたのですが、そこで撮った写真は、「市橋織江さんの写真っぽくなったな」って心の中で思っていました。誰にも話していないし、心の中で思っていただけなのに、現像に出したら「市橋織江さんっぽいね」って言われたんです。
すごく嬉しかったですね。
ーーーー憧れの人に近づけた感じでしょうか?
そうですね。いずれアイスランドに行って、写真撮影をしたいと思っているんですが、それも市橋織江さんの影響です。彼女の写真集の中に、アイスランドで撮ったものがあったんですが、僕も同じところに行って、同じような写真を撮ってみたいと思っていますね。
アイスランドにいた当時の市橋さんに会いに行く感じです。
ーーーー不思議な感覚ですね。
写真は時間的な制約を取っ払ってくれる気がしています。
アイスランドに行けば、当時の市橋さんに会う感じは絶対に得られると思うんです。
過去に友達と行った場所に一人で行って、誰もいないところで写真を撮ることもあるんですが、誰もいない写真なのに、友達がいる感じとか、そのときの記憶とかも蘇るんです。
僕は写真の魅力ってそこにあると思います。
仕事で写真を写すにせよ、プライベートでの写真にせよ、時空を超えて「そのとき」にトリップすることがでるんです。
[ GUEST ]
NAME : kamo
INSTAGRAM :@kamo_san2
[ INTERVIEWER / WRITER ]
NAME:HWANG
TWITTER: @juan1979
AGE : 42
AREA : CHIBA
JOB : FREELANCE WRITER
PROFILE:
大学卒業後、広告代理店、通訳等を経てフリーライターに。著「【内田篤人】夢をかなえる能力」(ぱる出版)