ファインダーの向こうにいるのは、自分自身。自分を見つめる機会をくれるカメラという存在。
18 August 2021

「レンズを覗いた時、自分と向き合ってる気持ちになる」と話すスタジオカメラマンの土居さん。写真に対する真摯な姿勢は、学生時代の経験がルーツとなっているようです。
CONCEPT
『小さな旅の記録~your solo trip~』<インタビュー連載>
"旅"をコンセプトに開発された「solo trip collection秋冬」のアイテム達を
記念して、新たなプロジェクトが始動。
otii®︎の理念に共感してくれた沢山のゲストに、
"旅"をテーマにお話を伺いました。
馴れ親しんだ日常から、ほんの少しだけ離れてみる。
たったそれだけで、そこには「小さな冒険」が溢れていました。
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香川県在住のスタジオカメラマン。SNSではフィルムカメラで撮影した写真を中心に発信している。ハンドメイドのアクセサリーを販売したりと、写真以外にも活動の幅を広げている。 |
ファインダーの向こうにいるのは、自分自身。自分を見つめる機会をくれるカメラという存在。
ーーーー土居さんのカメラとの出会いはいつになるのでしょうか?
幼少期ですね。父がカメラコレクターで、自宅にはカメラがたくさんありました。フィルムカメラだけで10台以上はあったと思います。小さい頃から自分の写真をよく撮ってくれていました。
その影響もあって、入学した高校に写真部があると知った時すぐに入部を決めました。
ーーーーあまりメジャーな部活動ではないと思うのですが、写真部がある高校だったんですね。
地元香川県でも写真部がある高校は5校くらいしかないと思います。でも、部員数はそこそこ多くて30人くらい。厳しい部活だったので、次第にみんな辞めてしまうのですが。。。(笑)
ーーーーどのような活動をされるのですか?
入部して一番最初に、フィルムカメラの現像を自分自身でやるんです。今はデジタルカメラが主流なので、失敗を恐れずにバシバシ撮影できますが、フィルムの撮影と現像の大変さを体験して、一枚の写真を大切に撮って欲しいという意図がありました。
その後からは、デジタルカメラでカメラの機能について勉強しながら、「写真甲子園」という高校写真部の全国大会に向けて与えられた課題に沿って写真を撮り続ける日々。暑い日も寒い日も外にでて、ひたすら写真を取り続けてました。
ーーーー写真甲子園、初めて知りました。
1994年に始まった「写真甲子園」は全国の高校が競いあう写真部の一番大きな大会です。
全国の高校写真部やサークルなどから作品を募集して、全国11ブロックから優秀校18校が選ばれる。優秀校に選ばれると、「写真の町」と呼ばれる北海道東川町で、同一条件のもとまた作品を撮るんです。最終審査を経て、日本一が決まります。
ーーーー土居さんも学生時代に出場されているんですか?
はい。各校の部から3人が選ばれてグループで出場するのですが、私も3年生の時に出場しています。ありがたいことに本選に選ばれて、北海道に行きました。結果は準優勝だったんですが、写真の仕事をしたい、と思うようになったのは振り返るとこの時だったのかなと思います。
ーーーーでは大学では写真を専攻されていたのですか?
いいえ。当時は写真を仕事にするって現実味がなかったし、昔から保育士になるのが夢だったので保育の短大に進学しました。
当時、実習中に写真を撮るよう頼まれたことがあったんです。子どもと遊べる力を身につけても、その子らしい表情を写真として残すことは難しかった。でもいい写真が撮れた時の面白さを、その時に知りました。
結果的に資格は取りましたが保育士にはならずに、子ども向けのフォトスタジオで働いています。
ーーーー趣味の域を超えて、お仕事でも写真に触れているんですね。お仕事でもプライベートでも、写真を撮る際に意識していることはありますか?
昔から、みんなが撮らないものを撮りたいという想いは変わらないですね。観光地や人が多いところの写真はあまり撮りたいと思わないんです。
プライベートでは、人がいないところに写真を撮りに行きます。夜中に出発して、海に星を撮りに行くのが好きです。夜明け前の空とか海って、神秘的でとても綺麗なのに、普通の人は寝ている時間ですよね。身近な場所でも、気づいていない、知らない瞬間がある。それを伝えられたらいいなと思っています。
ーーーー確かに、普通の生活リズムではなかなか気付けない魅力ですね。
写真を撮るときも、自分の目線を大切にしています。
写真部時代の名残で、一枚一枚への思い入れも強いですね。空気や温度といった眼に写っているその瞬間の雰囲気を写真にも残したいと思っているので、天候や状況に合わせて自分でマニュアル設定をして撮影しています。
ーーーー自身の感覚を大事になさってるのですね。
ファインダーを覗く時も、出来上がった写真を見る時も、自分と対峙しているような気持ちになります。写真は、その時の感情や考えが構図や色濃くに反映されるなと思っています。何気なく毎日を過ごしていたら気付けない気持ちの変化も、いつもカメラが教えてくれますね。
ーーーー今の自分、過去の自分に会いに行くような、そんな感覚ですか?
そうですね。「遠くに出かけること」だけが旅ではなく、「自分の時間」を旅とするなら、私の旅は“自分の写真に触れる瞬間”ですね。
カメラを通じて自分と会話しているような感覚でしょうか。忙しい日々の中でも、自分と向き合う機会を与えてくれる、カメラはそんな存在です。
[ GUEST ]
NAME :土居 夏実
INSTAGRAM :@doi_natsumi
[ INTERVIEWER / WRITER ]
NAME:豊島七海
AREA : TOKYO
INSTAGRAM :@nn.m__