きっかけは、DANNERの靴。妻と無骨を愛するキャンパー
20 August 2021

誰もが通る初心者道を、飾らず語る好青年。目指すはヒロシ風ソロキャンパー。だが、そんなことより選んだのは妻とのキャンプ。心和む、愛妻家の旅とは。
CONCEPT
『小さな旅の記録~your solo trip~』<インタビュー連載>
"旅"をコンセプトに開発された「solo trip collection秋冬」のアイテム達を
記念して、新たなプロジェクトが始動。
otii®︎の理念に共感してくれた沢山のゲストに、
"旅"をテーマにお話を伺いました。
馴れ親しんだ日常から、ほんの少しだけ離れてみる。
たったそれだけで、そこには「小さな冒険」が溢れていました。
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campegoooさん |
きっかけは、DANNERの靴。妻と無骨を愛するキャンパー
ーーーー夫婦での仲睦まじいキャンプスタイルを発信しているcampegoooさん。キャンプに興味を持ったのはいつ頃からですか?
2,3年前ですね。ずーっとヒロシさんのYouTubeを観ていて、憧れていたんです。あんなふうに、お気に入りのギアを長年愛用するみたいな、無骨なキャンプをやってみたいなあ、と。それを妻に話したら、彼女もインドア派ではないので「なんでもやってみよう。付き合うよ」と言ってくれて、じゃあギアを揃えようとなりました。
それまでは無趣味で、なにか趣味を始めたくていろいろやってみたなかで、僕も妻もキャンプにだけはどっぷりハマったんです。
ーーーー憧れのキャンプ、初回は気合が入ったのではないでしょうか。
それが、当初の憧れとは程遠い感じです。予定日の2週間前にアマゾンで最低限必要なギアを、総額2,3万円で揃えました。検索結果を「安い順」にして、一番上に出てくるギアをクリックしていく、みたいな。いま思うと、「よくその額で抑えらたな」と思いますが、だから長く使えるようなスペックのギアはなく、当時買ったもので今でも残っているのはひとつ、ふたつ……程度です。とにかくいろいろなことに対する知識がありませんでした。
たとえば、最初に買ってはじめてのキャンプに持っていったテントは防水がまったくダメで、しかも雨が降っている日だったんです。さらに水たまりになりやすい地形の場所にテントを張ってしまったものだから、中にいたら「あれ!冷たい!水が染みてる!?」と。雨除けタープは存在すら知らず、さすがにキャンプ場でレンタルしました。初回は、ひたすら自分の準備不足を痛感しましたね。
ーーーー奥様の反応はどうでしたか?
これがきっかけで、一緒に考えてくれるようになりました。「タープとテントはお金が掛けたほうがいいね」とか、一緒にギア選びしてくれるようになったんです。が、妻の趣味嗜好が入ると……無骨とは程遠いアースカラーやナチュラルテイストのギアが揃ってゆき、もう無骨は彼方です(笑)。
ただ、いまは男友達とキャンプ動画を始めまして、そこで無骨なキャンプをできたらいいなと思っています。
まさに、失敗が成長のもとというか、高くても長く使えるギアに勝るものはない、という結論が出ました。
ーーーー欠かせないお気に入りのギアはなんですか?
MONORALの焚き火台「ワイヤーフレーム」です。本体が小さく折り畳めて超軽量で、火床がメッシュなので撤収時が本当に楽なんです。メッシュの別売りもあるので、古くなったらここだけ買い換えれば長く使えます。
最近はVORNADOのサーキュレーターも気に入っています。デザインがかっこよくて、大好きです。
あと、斧も買いましたが、実は30振りくらいしかしていません(笑)。全然割ってない、ナイフが一番手軽に割れますし(笑)。でも、形から入ると気持ちが盛り上がりますから(笑)。
ーーーーインスタを見ると、ファッションなど奥様と揃っていてかわいいですよね。
アウターは同じアイテムを使ったり、交換して着られるものを買うようになりましたね。
これはもう100%僕のエゴなんですが、昨年、僕と同じDANNERのMOUNTAIN LIGHTを妻に買いました。キャンプって、朝、夜露で濡れた草の上を歩くと靴がびしょびしょになるんですよね。僕は元々DANNERを履いてて、防水加工されているからどんなときでもノーダメージなんです。
あるとき妻のスニーカーがびしょびしょになっているのを見て、買う口実ができたとばかりに買って贈ったんです。
ーーーー喜んでいましたか?
うーん、履いているところ、4回くらいしか見たことないですね……あれから1年経ちましたが、365分の4回か……まあ長く履ける靴ですから、おばあさんになるまでには履いてくれるだろうという希望はあります。
でもまあ、僕が買いたかっただけなので、いいんです!そもそもDANNERが、いま僕がキャンプをしているきかっけかもしれません。大学2年生のとき、リジッドデニムが欲しくて調べている過程で、リジッドデニムを履いている人のDANNER率が高いことに気づき、ファッション全体がアウトドア志向に寄っていきました。で、かっこいい靴だなと思い調べていると、ソールを張り替えれば30年も履ける靴だということがわかりまして。「いつかほしいな。よし、バイトを頑張ってお金を貯めて買おう!」と決意したんです。
ーーーー大学生でDANNERは、たしかにバイトを頑張って買う価格です。
はい、コンビニの夜勤を頑張りました。夜勤は固定給なんですが、固定給以上稼がないといけないと思って、ほかの人のシフトをもらって1ヶ月で14万円稼ぎました。
ーーーーつらい夜勤を乗り越えたのですね。
そうですね〜……(遠い目)。深夜3時、僕ともうひとりしかいないなかでいろいろとやることがあり、「ポイントカードが使えないのは詐欺だ」とか詰め寄られたり、10分前にカツ丼を買ったお客様が「異物が入っていた」と怒りながら戻っていらっしゃって、たぶん剥がしたときのフィルムが入ったんじゃないかな〜……なんてことも言えないし……バイトの僕では対応しきれない理不尽な苦情は、つらかったですね……。
ーーーーそうした苦難を乗り越えて、DANNERを手中に収めたときの気分はどうでしたか?
高揚しました。WEB上で穴が空くほど見ていたDANNERが、いま、実店舗で手に取り、レジを通ろうとしている、とうとうこの日が来たか! と。こんなにお金を貯めて何かを買ったことはないですし、札束を握りしめてお店に駆け込んだこともないですし。
あれから8年経ちましたが、休日だけしか履かないとしても、当初と同じくしっかりとした存在感で、さすがです。
そんな僕でも妻の靴をさっと買うことができたのですから、大人になったんだなあと実感しますねえ。
ーーーーヒロシさんの無骨キャンプに憧れよりずっと以前から、“相棒のように長く使える愛用品”がお好きだったのですね。それを最愛の奥様にも共有したい、と。そんなcampegoooさんにとって、“旅”とはなんでしょうか。
夫婦の備忘録です。僕は無骨に憧れてはいるものの、ソロで行くことはほとんどないんですよ。ふたり一緒だからこその、キャンプです。数日前から「今度のキャンプ、どんなキャンプにしようか。何を食べようか」なんて喋って、一緒にキャンプして、「帰りはどこで何を食べようか」とまた話して、ご当地グルメを楽しんで。準備から終わりまで、ふたりで決めるのがすごく楽しい。
昨年からはふたりでクロスバイクも始めました。ステイホーム中でキャンプに行けなくて、多摩川沿いのサイクリングコースを2人で走って。道も知らないので往復で50キロほどですけど、「あのパン屋さん、車では行ったことがあるけど、自転車で目指してみようか」とか喋りながら。
ふたりなら、これからも同じように楽しんでいけるんじゃないかなと思っています。
[ GUEST ]
NAME : campegoo
INSTAGRAM :@campegoo
[ INTERVIEWER / WRITER ]
NAME:有山千春
AREA : tokyo
JOB : free lance writer
PROFILE:制作会社、出版社を経て2011年よりフリー。主に週刊誌、月刊誌、書籍構成。行くなら最果てと、猥雑な小路。